平成13年度優秀畜産表彰等事業に係る
優良事例紹介

畜産を核とした地域振興活動

 

岩出山町 若牛会

 

1.畜産を核とした地域振興活動の概要


  若牛会は昭和55年10月に4Hクラブの活動を母体として、将来肉用牛農家の自立と地域農業の振興を図ることを目的として農業後継者8名で発足した。その後の活動内容としては、各種研修、講習会及びプロジェクト調査などを実施し、会員数は現在10名となっている。【資料1】【資料2】  町内に点在する会員が中心となり、和牛の改良、粗飼料生産などの活動の成果を町内畜産農家に還元し、次に掲げる地域農業の活性化に取組んでいる。

2.地域振興活動の内容

(1)生産集団による地域畜産振興

  会員には、家畜人工授精師7名、削蹄師2名がおり、町内飼養頭数の約7割の業務シェアーを占め、これら作業を通じて和牛改良へ協力し、育種価の判明など、町全体の和牛経営のレベルアップを図っている。中でも、和牛改良組合の育種価の判明頭数は、709頭と県の改良組合別判明頭数では第3位となっている。長年の活動により町内畜産農家の信頼を得てきた結果、現在会員内に和牛改良組合長及び理事3名が選出さている。また、町の高齢化に伴い肉用牛ヘルパー及びコントラクターなどの作業受託を実施しており、町内地域の畜産経営全体への労働力不足解消を図っている。【資料3】

1)作業面積の推移
(単位:戸、ha)
年度 昭和55年 平成7年 平成12年
内訳 戸数 牧草 デントコーン 戸数 牧草 デントコーン 戸数 牧草 デントコーン
組合員 12.6 5.0 13.5 13.3 15.5 4.0
受託農家 2.3 2.2 33 11.3 11.0 39 13.5 7.9

(2)若牛会による和牛改良への取組み

 岩出山町の繁殖雌牛は、従来但馬系が主体であり質量兼備の和牛改良を図るため、会員自らが育種価の高い雌牛の自家保留や、会員全員で鹿児島・宮崎に出向き増体系の繁殖雌牛を外部導入し、種牛性及び市場性の高い和牛改良を目指している。しかし、外部導入には多額の資金が必要であり、また、自家保留は、単年度的には子牛販売収入を見込めないため、中々増頭が進まなかった。しかしながら、近年においては各経営も安定し、更に会員が人工授精等に出向いた時には、授精先の雌牛の能力に合った種雄牛を選定して種牛性及び市場成績の良い交配を推進し、育種価の高い牛を自家保留するよう地域畜産農家へ助言、指導を実施している。【資料4】【資料5】

我々会員は、和牛改良による町内全体の底上げを図り、和牛改良の更なるレベルアップを目指している。また、今年度より肥育部門を開始する会員もいて、地域内一貫経営にも目を向け、今後の更なる改良推進が期待される。

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(3)市場成績の検討

  会発足当時、会員の牛は飼養管理及び、改良知識の不足から、「会の子牛は安い」と批評されており、子牛市場成績の向上は発足当時からの課題でした。このため、市場成績を集計検討した結果、交配の種雄牛を選抜し雌牛の能力を把握することで、市場性にあった子牛生産が拡充され、その成果を町内和牛繁殖経営農家へ還元することにより、町内出荷の子牛市場平均価格の向上へつながり始めてきた。また、和牛改良組合平均飼養頭数は、平成12年に4.9頭と年々少しずつではあるが増頭がなされてきている。【資料6】
 なお、平成12年度の会員の出荷頭数は、去勢62頭、雌38頭、計100頭であった。【資料7】

(4)岩出山コントラクターの設立による粗飼料生産のコスト低減化

 会の活動の一端として、生産コストの低減と労働時間の短縮、更に飼養規模の拡大を図るため、昭和62年に若牛会機械利用組合を立ち上げ、その後本組合が母体となり平成6年に岩出山コントラクター組合へと発展した。年々受託面積が拡大され、労働力が追いつかなくなってきたため、補助事業等を活用して大型機械を導入し、共同作業による作業効率のアップを図ってきた。その結果、作業効率も上がり、自給粗飼料生産コスト低減が図られてきた。(写真)

また、各個人は必要最小限の機械を所有することで、過剰投資の抑制と委託農家等の粗飼料が十分に確保され、共同作業に対する理解も得られてきた。【資料8】【資料9】【資料10】

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(5)若牛会会員牛舎巡回

 昭和56年より会員牛舎を定期巡回してきたが、その後、平成10年に牛舎環境、衛生対策を基本として明るさ、通風などを加えて10項目において、お互い詳細に観察し、採点評価して牛舎環境の改善に努めている。【資料11】 このことによって、牛舎全体の衛生面や周辺環境はもとより、繁殖成績、更には子牛の発育にまで効果が見られている。また、会の人工授精師、削蹄師は、自己の経験を他町村へも普及することにより、地域の活性化や環境改善にも協力している。

(6)パソコンによる集計管理とパソコン研修

 経営簿記・表計算ソフトによる経営の把握や、会員の市場成績を入力し、比較検討を行なっている。更に、いち早くから飼料給与診断システムを取り入れ、会員内で評価検討し、日常管理において適正な飼料給与の参考としている。また、会員中6名がパソコンを所有しており、その操作のスキルアップを目的に年数回の研修会を実施している。内容は、先に触れた飼料計算や経営簿記の操作、インターネットへの接続などで、飼料給与診断システムや経営簿記ソフトにより、家畜の飼料給与計算、所得の申告など各個人が経営の把握に役立てている。【資料12】
なお、インターネットの活用によって、より迅速かつ必要な情報を収集、分析し、地域繁殖経営農家へも提供している。

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(7)視察研修会の実施

  会員の視野を広め、見聞を深めるために視察研修を毎年実施している。中でも、平成3年に町の海外派遣事業において6名参加し、ドイツ・フランスを12日間視察してきた。その中で、ヨーロッパの経営に対する柔軟な取組み姿勢に共感し、今後の活動及び経営に生かしていきたいと考えている。また、国内においては雌牛導入に合せ九州まで同行した際、種雄牛「平茂勝」を飼育しているお宅までお伺いし、飼養管理や種雄牛づくりに関してのアドバイスをもらい、会員の目指す改良方針の参考となっている。その後、研修先とは定期的に連絡を取り合い、情報交換を図り地域間交流を実施し、互いに親身になって和牛繁殖経営の悩みを話し合っている。

研修先で学び取った飼養管理、経営方針などは、今後会の方向性及び個人の経営改善などにおいて大変参考となっている。


3.今後の活動の方向・課題等


 1.畜産経営の高齢化に備えて

年々高齢化が進み和牛生産基盤が弱体化していく中で、確実に粗飼料を低コストで確保し供給することと、肉用牛経営全般のヘルパー制度確立の充実を図り、さらなる強化を今後も推進していく。

 2.新規就農者の受け入れ

肉用牛経営の中核的な立場で新規就農者などの後継者育成を行い、バックアップ体制や兼業農家へのホローアップの充実が出来る用、組織力の強化を図っていく。

 3.他地域との交流や追跡調査

近隣市町村との交流をもっと盛んに行い、他町村においての普及活動の促進をしていく。
また今年度より、肥育部門を会員が実施したことにより今後、地域一貫経営を考え枝肉成績の結果から一歩進んだ子牛生産を目指し、肥育農家との情報交換の構築を推進し、更なる和牛改良を推進していく。

 4.家畜改良事業への参加

県平均に比べて育種価判明頭数は高いものの枝肉重量及び脂肪交雑等が低い、よって遺伝的能力の改善対策のため、会員メンバーがこれまで以上に育種価の高い雌牛の保留などによる子牛生産からの産地形成の確立を推進していきたい。

これら今後の活動の方向と課題を踏まえ、和牛経営が経済的に成り立つ事を自らが実践し、示すことで和牛経営が魅力ある物であることを証明していき、新しい後継者育成のバックアップとなり、今後益々活気のある会へと発展して行きたいと考えています。